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文書作成日:2025/03/31
人事労務Q&A 〜就業規則変更手続きに必要な職員代表の適正な選出方法〜

今回は、就業規則変更手続きに必要な職員代表の選出方法に関するご相談です。

Q
今月の相談内容

 当院では、今年の4月1日より就業規則を変更します。
 先日、時間外・休日労働に関する協定(以下、36協定)を締結する際に職員代表を選出したことから、今回、就業規則を労働基準監督署へ届出する際も、その職員代表に就業規則の変更に関する意見を聴こうと考えています。
 この対応について問題があるでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 事業場の労働者の過半数を代表する者(以下、職員代表)の選出は、原則、労使協定の締結や就業規則の作成・変更の都度、行う必要があります。
 なお、適正な手続きを行った結果として、引き続き同じ職員が職員代表として選出されることは問題ありません。

A-2
詳細解説
1.職員代表とは

 労働関係法令の手続き上、その事業場に職員の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合(過半数労働組合)、過半数労働組合がない場合は、職員の過半数で選出した職員代表と労使協定を締結する場面があります。

 また、就業規則の作成や変更をする場合にも、過半数労働組合や職員代表の意見を聴かなければなりません。
 職員代表を選出する際には、正職員のみでなく、その事業場で働くパート職員、嘱託職員、育児・介護休業中や休職中の職員も含むすべての職員の過半数が支持していることが求められます。
 ここには経営者と一体的な立場にある管理監督者も含まれますが、職員代表となることはできません。

2.職員代表の選出方法

 職員代表の選出は、投票、挙手、職員の話し合いや持ち回り決議など、職員の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続きにより行うことが必要です。
 例えば、朝礼やミーティングなど職員が集まる機会を利用して、挙手により職員代表として信任するといった、職員の意思を確認する方法で選出することが考えられます。
 なお、医院が特定の職員を指名し、職員代表に決定することはできません。この場合、締結した労使協定は無効になることもあります。

 職員代表は、36協定の締結や就業規則の作成・変更に係る意見を聴取するため等、目的を明示し、その都度、選出することが原則です。そのため、一度選出された職員代表が永続的に職員代表であり続けるわけではありません。
 この際、結果として、引き続き同じ職員が職員代表として選出されることは問題ありません。

 職員代表の選出が適正に実施されず、形式的なやり取りとなっている医院も多くみられます。
 まずは、職員代表の役割を職員に説明し、医院が指名できるものではないことを伝え、職員間で正しい選出ができるように促す必要があります。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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