今回は、短期間で退職した職員への給与支払いに関するご相談です。
職員を採用しましたが、業務内容が入職前に思っていたものと違うとのことで、2日間勤務した後、退職する旨の申し出があり、退職届を受理しました。
採用時に提出をお願いした給与の振込用口座の書類が回収できておらず、退職者と連絡が取れないため、給与の支払いができません。2日間分の給与の支払いはどのように対応したらよいのでしょうか?
職員が入職後、短期間で退職した場合であっても、医院は職員へ給与を支払う必要があります。
現金を手渡しするか、銀行口座へ振り込むかの2つの方法がありますが、いずれの場合も、まずは電話やメール、自宅への書面郵送など、本人に連絡を取ることが必要です。
仮に返答がない場合であっても、一定期間については、医院が支払うべき給与を保管し、本人と連絡が取れた際、すぐに支払うことができる状態にしておきます。
医院は、入職後、短期間で退職した職員であっても、実際に勤務した日数に対して、給与を支払う義務があります。
給与の支払方法は現金で支払うことが原則ですが、一般的には職員の同意を得て、銀行口座などへの振り込みにより支払うことが多いでしょう(労働基準法第24条)。
今回のケースでも口座振り込みにより給与を支払うのであれば、退職者に電話やメールをしたり、自宅に書面を郵送したりするなどして、本人から口座情報を回収します。
職員には給与を受け取る賃金請求権があります。そのため、今回、退職者から返答がなく、やむを得ず、給与を支払うことができない場合、医院は、職員から支払いを求められた際、すぐに支払いができるように、支払うべき給与を一定期間保管することになります。
保管は、少なくとも賃金請求権の消滅時効期間である5年(当分の間3年)は行うべきでしょう。
入職時には、職員の様々な情報が必要になります。したがって、医院は採用した職員に対して、入職日までに必要書類を提出してもらうようにしましょう。
退職時には前もって、制服などの医院からの貸与品の返却時期や、退職後に医院から渡す書類の発行時期などを案内しておくことで、たとえ入職後すぐに退職してしまう職員であっても、スムーズなやり取りができることにつながります。