新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してから、国や地方公共団体などから様々な補助金が交付されています。少し前に申請受付が終了した「事業復活支援金」もその1つです。このような国や地方公共団体から補助金や助成金など(以下、助成金等)の名目で支給された場合の税務上の収入計上時期について、改めて確認します。今回は個人事業者の場合です。
個人事業者が受け取る国や地方公共団体からの助成金等については、個別の助成金等の事実関係によって、課税関係が異なります。
たとえば個人事業者がその事業に関連して受け取った助成金等として『事業所得』となるのは、次のものがあります。
これら『事業所得』となるものについての収入計上時期は、原則として「その収入すべき権利が確定した日の属する年分」です。具体的には、原則として、「その助成金等の支給が決定された日の属する年分」に計上します。
ただし、その助成金等について次のいずれかに該当するときは、それぞれの時期に収入計上等の処理をすることとなります。
助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続をしている場合には、「その経費が発生した日の属する年分」に収入計上します。
これは、補填する経費と助成金等の収入が同じ年分になるようにする、つまり収入と支出を対応させるためです。
助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その年の12月31日までに助成金等の返還を要しないことが確定した場合に限る)で一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない、つまり収入として計上しないこととされています。
その一方で、この総収入金額に算入しなかった金額に相当する金額は、その固定資産の取得価額から控除します。
これは、収入に計上しない分を固定資産の取得価額から控除することで、将来にわたりその部分は減価償却費として計上しない(=必要経費としない)こととなります。つまり、一度に収入(所得)として認識されるのではなく、必要経費となる部分が毎年減ることでその分毎年所得が増えることになり、増えた時点で課税が認識されます。いわゆる“課税の繰り延べ”を意味します。
上記の他、「新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金」については、事前に利子相当額の交付を受けるものの、支払利子の発生に応じてその支払利子相当額の収入が確定し、その時点で収入計上します。
冒頭でご案内した「事業復活支援金」は、事業収入等の減少を補填するものであるため原則的な取扱いとして、「その助成金等の支給が決定された日の属する年分」に収入金額として計上することとなります。
なお、助成金等については、同一年中に全ての手続が完了し、収入も支出も確定している場合には問題ありませんが、同一年ではなかった場合に、どの年分に収入計上等の処理をするのか資料等を参照して判断する必要があります。
参考:
国税庁HP
「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」