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湯沢会計事務所
文書作成日:2025/05/01
介護従事者の処遇改善、政策の効果は?

 2024年度の介護報酬改定では、介護職員の賃金ベースアップを目標に、処遇改善加算がリニューアルされました。その効果を検証する調査の結果が、厚生労働省より公表されています。

 調査は2024年10月に実施され、8,180施設・事業所からの有効回答を集計したものになります。

加算の取得(届出状況)

 介護職員等処遇改善加算の2024年9月30日時点の取得(届出)状況は、「取得(届出)している」事業所が95.5%でした。種類別では45.7%の事業所が加算Tを、32.2%が加算Uを取得しています。

 取得(届出)をしない理由では、「事務作業が煩雑」39.6%、「利用者負担の発生」22.4%、「算定要件を達成できない」22.1%が上位となりました。

給与等の引き上げの対象者

 給与等の引き上げの対象者は、「施設・事業所の職員全員について、給与等を引き上げ(予定)」が58.2%でした。

 職員の範囲では、「看護職員」が51.9%、「生活相談員・支援相談員」が50.8%で5割を超えています。「PT、OT、ST又は機能訓練指導員」「介護支援専門員」「事務職員」がいずれも3割台、「調理員」と「管理栄養士・栄養士」は2割前後となっています。

賃金改善の実施方法と政策の利用状況

 賃金改善の実施方法は、「ベースアップ等により対応」が59.8%、「定期昇給を実施することで対応」が43.6%でした。

 また、2024年度に措置された加算額は、2025年度のベースアップに繰越して充当することができますが、その繰越状況をみると、「加算額の一部を令和7年度に繰り越した(予定)」が14.3%、「加算の全額を令和6年度分の賃金改善に充てた(予定)」が80.7%となっています。

 賃上げ促進税制の適用については、23.3%が適用を受ける予定、未定が34.3%でした。

平均給与額等の状況

 最後に、介護職員等が受け取る給与額にどの程度影響したのかを見ていきます。

 介護職員等処遇改善加算を取得(届出)している事業所における介護職員の平均基本給与等(※1)(月給・常勤の者)を、2024年9月と前年同月を比較すると、下表のようになります。

職種@2024年9月A2023年9月@−A
介護職員253,810円242,680円11,130円
看護職員290,590円283,450円7,140円
生活相談員・支援相談員277,800円267,120円10,680円
理学療法士、作業療法士、
言語聴覚士又は機能訓練指導員
286,820円277,770円9,050円
介護支援専門員290,340円279,500円10,840円
事務職員248,410円239,550円8,860円
調理員212,250円203,790円8,460円
管理栄養士・栄養士250,240円242,590円7,650円

(※1)基本給等=基本給(月額)+手当のうち毎月決まって支払われる手当(通勤手当、扶養手当、超過労働給与額等は含まない。)

 次に、平均給与額(※2)(月給・常勤の者)の状況を見ると、下表のようになります。

職種@2024年9月A2023年9月@−A
介護職員338,200円324,240円13,960円
看護職員384,620円375,260円9,360円
生活相談員・支援相談員353,950円340,150円13,800円
理学療法士、作業療法士、
言語聴覚士又は機能訓練指導員
362,800円350,190円12,610円
介護支援専門員375,410円363,760円11,650円
事務職員317,620円305,960円11,660円
調理員272,240円260,140円12,100円
管理栄養士・栄養士323,810円311,810円12,000円

(※2)平均給与額=基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月の支給金額の1/6。賞与等含む。)

 調査結果の詳細は、以下のサイトで公開されています。ご確認ください。

[参考]
 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

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