6月21日に閣議決定された2024年度の「経済財政運営と行政改革の基本方針」(骨太の方針)より、今回は福祉分野に関する内容を、昨年度(2023年度版)の骨太の方針と比較してみたいと思います。
以下に、要点をピックアップしてご案内します。福祉分野についても、おおむね昨年度の内容を踏襲した内容です。赤字の箇所が、今年度の方針で追加・具体化された点となります。一部、前回医療分野でご案内した内容と重複します。
処遇改善:
医療・福祉分野等におけるきめ細かい賃上げ支援や最低賃金引き上げ。
医療・介護・障害福祉サービスについては、2024年度診療報酬改定で導入されたベースアップ評価料等の仕組みを活用した賃上げを実現するため、賃上げの状況等について実態を把握しつつ、賃上げに向けた要請を継続するなど、持続的な賃上げに向けた取組を進める。
DX・ICT:
医療・介護DXやICT、ロボットなど先進技術・データの徹底活用やタスクシフト/シェアや全世代型リ・スキリングの推進等による「生産性の向上」。
ICTや特定行為研修の活用等による訪問看護や看護師確保対策の促進、在宅サービスの多機能化等による在宅医療介護の推進に取り組む。
福祉サービスの提供体制:
人口減少による介護従事者不足が見込まれる中で、医療機関との連携強化、介護サービス事業者のテクノロジーの活用や協働化・大規模化、医療機関を含め保有資産を含む財務情報や職種別の給与に係る情報などの経営状況の見える化を推進した上で、処遇の改善や業務負担軽減・職場環境改善が適切に図られるよう取り組む。
必要な介護サービスを確保するため、外国人介護人材を含めた人材確保対策を進める。
リハ・栄養・口腔:
全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の活用と国民への適切な情報提供、国民皆歯科健診に向けた具体的な取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医歯薬連携を始めとする多職種間の連携。
人材確保:
高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題や、医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題などについて、報酬体系の見直しや規制強化、公的な職業紹介の機能の強化の更なる検討。
介護保険制度:
利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し。
予防・重症化予防・健康づくり:
エビデンスに基づく科学的介護を推進し、医療と介護の間で適切なケアサイクルの確立を図る。また、ウェアラブルデバイスに記録されるライフログデータ(睡眠・歩数等)を含むPHRについて、医療や介護との連携も視野に活用を図るとともに、民間団体による健康づくりサービスの「質の見える化」を推進。
医療分野についての要点まとめは、以下の記事をご参照ください。
[関連記事]
「骨太の方針2024に見る今後の医療行政」
[参考]
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2024」